玄関を入り、長い廊下を奥に進むとようやくうどん屋さんらしい光景にたどり着く。今年の2月28日に新たに営業を開始した『入山うどん』は、吉田のうどん屋さんの原点を思わせる雰囲気が漂っている。のれんやのぼりが無ければ普通の民家と見分けはつかず、中も仏壇や額縁などを通じて、どこか生活の香りを感じさせる。地元の方であれば、むしろこんな雰囲気にうどん屋さんらしさを感じるかもしれない。
 麺打ちはご主人の渡辺義利さん、ダシ・つゆは奥様と、夫婦が協力してお店を切り盛り。朝5時半には生地を練り直して麺を切り、その後具の準備を整えてお昼に備える。営業終了後も次の日の準備と「勤め人だった頃より自由時間が無くなった。」と笑う。開店から半年を経過した現在、麺打ちや配膳などうどん屋さんとしての流れに慣れてきた。客商売の難しさを実感しながらも「おいしかった」と言われる嬉しさが日々の活力にもなっている。
 入山うどんの味は、開店当初にお世話になった近所の方たちの意見を参考にしているとか。コシは欲しいけど硬すぎるのは×、塩分も控え目がいい。試行錯誤の上、ダシを生かして味を整えたつゆとモチモチ感のある麺というのが同店の味である。具材は肉や天ぷら、きんぴらにカレー、そして季節に合わせて冷やしなどが登場する。注目は、とろろと生卵の特製つゆで味わう「とろ玉うどん(写真)」(\500)。滋養満点で体にも優しい一品。ぜひお試しあれ。
入山うどん
山梨県富士吉田市新倉56 0555-22-5550
営業時間/11:00〜14:00 月曜定休

back